目の前にあるものに手を伸ばして、それにふれてみること。
普段何気なくする行為であるが、人と人との接触で拡大してしまう
目に見えない脅威を前にすると、途端に難しくなった。
そんな中で、私の作るものは一体どんな意味を持ち得るのだろう。
直接会わずとも誰かと繋がれて、実物を目の前にしなくとも
一定の情報を得ることが出来る便利さとは、真反対のもの。
目で見て、手にとって、ふれてみないと知覚出来ないもの。
そういうものが持つ意味を、私はかたちを作ることで探している。
本来は、ふれて質感や温度を知って欲しい。
内側に溜まる光や透明な輪郭を介して広がる空間を、見る人には感じて欲しいと思う。
それが今は叶わなくても、当たり前のように出来る日常に、どうか早く戻りますように。
( 2020.09 表参道スパイラルにて開催された『Conversations VI -Fact x/1-』 の出品に際して綴った文章から抜粋)