「ふれるかたち」について
しばらく休んでいたガラスの制作を昨年再開し、手を動かし始めると、
小さい何かを包んだようなかたちがたくさん出来ました。
作ることから離れている間は毎日をただ平穏に過ごすことで手一杯でしたが、
時々ふとした瞬間に「何か」を掴んだような気持ちになることがあり、
またいつか何かを作るなら、その時の感覚が
自然にかたちにあらわれたらいいなと思っていました。
出来上がったガラスのかたちを眺め、
これらは「見る」ものではなく「ふれる」ものだなと気がつくと、
すとん、と心が落ち着きました。
ガラスは表面に質感を与えるとやわらかな光を内包します。
それはその瞬間にあらわれた、その時だけの光です。
両手でやさしくふれて、手触りや量感をたのしんでいただけたら幸いです。
(2019.02.16 個展「ふれるかたち」挨拶文)